凋落

鉛のような曇り空の下、肌に突き刺さるような痛みの寒風が吹いていた。そんな中、暖房の効いた部屋で、僕は京都の駿台の寮でパソコンを前に座っていた。世間は師走で大忙しだ。受験生である僕も例に漏れず、共通テストを目前に大忙しである、はずなのだが、僕は鬱々した気分でパソコンに向かっており、この時期の受験生なら解いているであろう、共通テスト予想問題集は机のどこにも広がっていないのであった。

 

街に出ればクリスマスソングが流れていて、世間は浮かれているし、同じ寮の仲間は、毎日予備校で冬季講習を受けて、勉強に励んでいる。僕はそのどちらにも属せず、ただただ疎外感を覚える。なぜこのようなことになったかと言うと、話は11月まで遡る。11月上旬、阪大オープンを受けた僕は、勝利の感覚に浸り、有頂天になっていた。A判定はちょっと厳しいかもしれないが、自己採点から判断するに、B、最低でも、Cは取れているだろうと思った。これでようやく受験が終わると思い、勉強の勢いは単調増加で加速していった。ところが、その関数に極値が現れた。10月に受けた駿台ベネッセの記述模試の結果は、僕をどん底に突き落とした。以下に僕の成績を包み隠すことなく記す。

大阪大 基礎工 情報科学 E
大阪大 基礎工 システム科学 E
大阪大 基礎工 化学応用科学 E
大阪大 工 電子情報工 E
大阪大 工 応用理工 E
神戸大 工 情報知能工 E

志望している国立大学は、すべてE判定だった。特にショックだったのが、神戸大の判定だ。夏の模試では神戸大はA判定を取っていたからだ。模試は模試でしかないとはよく言われる。しかし、模試の判定は、過去の受験生のデータから、受かる見込みを統計的に算出したもので、統計上、僕の合格は厳しいのだ。この結果を突きつけられた僕には二つの選択肢がある。志望校を大幅に下げるか、もう一浪するかだ。どちらも、僕にとっては耐え難い選択肢だ。そうして、鬱が襲って、判断を保留している状況が続き、冒頭の状況に至る。判断を保留することは、それだけ、後の苦しみが大きくなる。僕はもう決断しなければならない。

暖房が暑くなってきた。そろそろ、外に出る頃なのかもしれない。